シルメヤス
← 解説一覧に戻る

解説

iDeCoの拠出限度額が2026年12月に引き上げ — 積み増しから「出口」の課税まで

公開 更新 出典 6件(記事末尾)

iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額が、2026年12月1日から大きく引き上げられます (政令 令和7年第441・442号)。掛金を増やせば所得控除による節税も増えますが、 iDeCoは「入口」だけで判断すると出口で思わぬ課税に出会う制度です。 この記事では、新しい限度額と、受取時に効いてくる退職所得控除・受取順序のルールまでを通しで整理します。

要点

  • 自営業(第1号):月6.8万円 → 7.5万円(国民年金基金等と合算)
  • 会社員(第2号):月2.3万円(企業年金なし)等 → 一律6.2万円(企業年金の掛金と合算)
  • 専業主婦(夫)(第3号):月2.3万円で変更なし
  • 加入可能年齢が70歳未満に拡大(第5号加入者の新設・要件あり)
  • 出口では、iDeCo一時金→退職金の受取順に新しい10年ルール(2026年以降)が適用される

新しい限度額 — 誰がいくらまで積めるようになるか

自営業・フリーランス(第1号被保険者)は月6.8万円から月7.5万円へ (国民年金基金・付加保険料との合算枠)。会社員(第2号)は、企業年金の有無で 2.3万円/2.0万円/1.2万円と分かれていた枠が一律6.2万円(企業年金の事業主掛金等との合算)に 統一されます。企業年金のない会社員は月2.3万円→最大6.2万円と、増加幅が最も大きい区分です。 専業主婦(夫)(第3号)は月2.3万円のまま変わりません。

あわせて、60〜70歳で一定の要件(老齢給付を受給していない等)を満たす方が加入できる第5号加入者(月6.2万円)が新設され、加入可能年齢の上限が70歳未満に広がります。

未確定・注意

施行は2026年12月1日ですが、掛金への反映は2027年1月引き落とし分からとされています (実務スケジュールは金融機関の案内をご確認ください)。また第2号の枠は 「企業年金の掛金と合算して6.2万円」なので、企業型DC・DBの掛金が大きい方は iDeCoで使える残り枠がその分小さくなります。

節税額は「掛金 × 税率」で決まる

iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象で、 おおまかには年間掛金 ×(所得税率+住民税率10%)が毎年の税負担の軽減額になります。 課税所得が高い人ほど、そして枠の拡大幅が大きい区分ほど、今回の改正の恩恵は大きくなります。

出口の課税 — 受取順序で結果が変わる

iDeCoを一時金で受け取るときは退職所得として扱われ、退職所得控除(勤続・加入年数1年あたり40万円、20年超の部分は70万円)が使えます。 問題は、会社の退職金とiDeCo一時金の両方がある場合です。 近い時期に両方を受け取ると、控除の勤続期間の重複部分が調整され、控除が目減りします。

この「近い時期」の判定が受取順序で非対称です。退職金→後からiDeCo一時金の順では前年以前19年内が調整対象(19年ルール)。iDeCo一時金→後から退職金の順は従来「前年以前4年内」でしたが、 令和7年度税制改正で前年以前9年内(いわゆる5年→10年ルール化)に拡大され、 2026年1月1日以後にiDeCo一時金を受け取る場合に適用されます。 「iDeCoを先に受けて数年空ければ控除を二重に使える」という従来の定石が、 この改正で大きく制約されました。

「あといくら積めるか」と「どう受け取るか」を通しで

つまり2026年のiDeCoは、入口(新限度額でいくら積み増せるか・節税はいくらか)と 出口(iDeCo先/退職金先/同年受取で退職所得課税がどう変わるか)を通しで考えて初めて損得が見えます。 当サイトの計算機では、この両方をあなたの条件でまとめて概算できます。

出典

この結果は一般的な情報提供のための概算です。実際の金額は個別の事情や最新の制度により異なります。最終的な判断の前に、税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。本記事は作成時点の法令・公式資料に基づく一般的な情報提供であり、施行日・金額等は今後の政令・改正で変わる場合があります。